株式会社Tサービス
武田 知之(たけだ ともゆき)さん
いつ創業し、どのような事業をされているのですか?
株式会社Tサービスは、2017年に東京都武蔵野市で創業し、法人向けのオフィス支援事業を展開しています。複合機・ビジネスフォン・パソコン・セキュリティ機器といったOA機器の導入やリプレイスを中心に、通信費・ITコストの見直し、補助金・助成金を活用した導入支援まで幅広く対応。さらにオフィスの内装や看板、ネットワーク環境構築もワンストップでサポートし、中小企業や起業家が安心して事業に集中できる環境づくりを総合的に支援しています。
創業のきっかけを教えてください。またなぜ創業したのですか?
私は長年、OA機器や通信関連の業界で営業・サポートに携わってきました。その中で常に感じていたのは、中小企業や個人事業主の方々が「誰に相談すればいいのか分からない」という不安を抱えていることでした。複合機はA社、電話はB社、内装はC社と、窓口が分かれてしまうことで、手間もコストも余分にかかってしまうのです。お客様が困っていても、「自分の担当領域外だから対応できない」という場面に直面するたびに、本当に役立つ存在とは何かを考えるようになりました。そこで私は「機器の販売だけでなく、事務所に関わるあらゆる課題を一括して相談できる会社を作ろう」と決意し、2017年にTサービスを創業しました。創業当初は一人でのスタートでしたが、20年以上の業界経験と信頼できるパートナー企業とのネットワークを活かし、OA機器の導入や通信費の削減、補助金の活用支援、さらには内装や看板工事までワンストップで提供できる体制を築きました。「お客様が本業に集中できる環境を整えること」こそが、私の使命だと思っています。単なる販売業ではなく、経営者に寄り添う相談相手でありたい。その思いが、Tサービス創業の原点です。
創業してしばらく経ちました。実際にやってきてどうでしたか?
創業してから8年が経ちますが、正直に言えば順風満帆というわけではありませんでした。最初の頃は信用や実績がなく、飛び込みで提案しても「小さな会社に任せて大丈夫なのか」と疑われることも多かったです。また、請け負う業務範囲を広く掲げていたため、当初は自分一人で抱え込んでしまい、夜遅くまで対応に追われる日々もありました。想定以上に幅広い知識と対応力が必要で、自ら勉強しながら一歩ずつ積み上げてきた感覚があります。一方で、そうした苦労を乗り越える中で得られたものも大きかったです。たとえば「武田さんに相談すれば全部まとめて解決できる」と言っていただけた時は本当に嬉しかった瞬間でした。小さな改善提案が経費削減につながり、お客様の事業が前向きに進んでいく姿を間近で見られるのは、この仕事ならではの喜びだと思います。振り返れば苦労も学びもすべて糧になりましたし、今では信頼できるパートナーやお客様に恵まれ、創業時に思い描いていた「経営者に寄り添う存在」として少しずつ形になってきたと実感しています。これからも地域の中小企業の成長を支えるために、誠実に取り組んでいきたいと考えています。
苦労や想定外のことをどう乗り越えましたか?
創業当初は信用や実績が乏しく、思うように案件を任せてもらえないことが大きな壁でした。その不安を乗り越えるために心がけたのは「小さな信頼を積み重ねること」です。どんなに小さな仕事でも全力で取り組み、迅速かつ丁寧な対応を徹底しました。結果として「ここまでやってくれるなら安心だ」と評価され、少しずつ紹介やリピートにつながっていきました。また、業務範囲を広く掲げていたため、当初は知識不足に直面することも多かったのですが、その都度自ら学び、必要に応じて外部の専門家や協力会社に相談する仕組みを整えました。一人で抱え込むのではなく「ネットワークで解決する」という考え方に切り替えたことで、より確実で幅広い提案ができるようになったのです。さらに、お客様にとって「何をすれば一番メリットになるのか」を常に意識し、単なる機器販売にとどまらず、補助金助成金の活用や経費削減といった経営視点でのサポートを心がけてきました。その積み重ねが「武田さんに相談すれば全部まとめて解決できる」という評価につながり、私自身の大きな励みになっています。
こうした工夫や姿勢の変化が、創業時の苦労を乗り越える力になり、今のTサービスの形をつくってきたと感じています。
今後の展開を聞かせてください。
今後の展開については、まず3年後を目安に「地域で一番相談しやすいオフィスサポート企業」としての地位を確立したいと考えています。これまで積み重ねてきたOA機器や通信費の見直しに加え、DXやセキュリティ対策といった新しいニーズにも対応できる体制を整え、中小企業の経営者が「まずはTサービスに相談してみよう」と思える存在を目指します。5年後には、現在東京・武蔵野エリアを中心に展開しているサービスを、都内全域、さらに近隣の都市へと広げていきたいです。特に小規模事業者が多い地域では、ワンストップでオフィスの課題を解決できる会社、信頼できる会社はまだ少なく、私たちが培ってきたノウハウが大きな価値を発揮できると感じています。そして10年後には、単にOA機器やコスト削減の支援にとどまらず、働き方改革やリモートワークの推進、さらには地域企業同士をつなぐハブのような役割を果たしたいと考えています。お客様同士が協力し合い、共に成長していける仕組みをつくることが、私の描く将来像です。これからも変化の早い時代に合わせてサービスを進化させつつ、「経営者にとって最も身近で信頼できるパートナー」であり続けることを大切にしていきたいと思います。
起業を志す方へのアドバイス

起業は決して楽な道ではありませんが、困難や失敗の中にこそ成長のチャンスがあります。完璧を求めすぎず、小さな一歩を積み重ねることが大切です。そして何より「誠実さ」を忘れずに、人とのつながりを大切にしてください。信頼は時間をかけて築かれる最大の財産であり、必ず事業の力になります
アドバイザーからの一言ともすると「オフィス機器の販売業」に終始しがちな業界ですが、その中で武田さんはお客様から厚い信頼を得て、相談される立場を確立しています。つまり、「業者の領域」ではなく「パートナーの領域」で活動しているのです。業者の領域にとどまっていては、困ったときに相談されることはなく、見積もり段階で初めて声がかかり、価格競争に陥りがちです。一方、パートナーの領域であればそうした状況にはなりません。そのためには、専門分野の知識を深めるだけでなく、お客様の業界理解を深め、社会の動向にも敏感である必要があります。武田さんは、こうした高度な営業スタイルを実践している好例といえるでしょう。 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |









