あぶらや株式会社
永井 明美（ながい　あけみ）さん

https://aburayaj.net/

伝統工芸品のセレクトショップと女性専用リラクゼーションサロンを併設

会社設立は、『あぶらや』を始めるにあたり、私の考えていたお取引先の皆様に安心してお取引をしていただくために、株式会社という形にしました。日本各地に行き、沢山の作品や作家さんにお目にかかり、お話をお伺いさせていただいた中から仕入れさせていただいています。普通のお店と違うのは、そのほとんどを私自らが使用させていただき、その良さを心からお伝えできるということ。直接私がお話させていただいているため、どういったものがどの作り手さんが得意としているのかを把握できるため、お客様の望まれる商品をどの作り手さんとお繋ぎさせていただくかを考え、橋渡しすることをお仕事とさせていただいています。一方、会社設立以前、全国にあります某店舗で、トレーニングを受け個人事業主としてお仕事させていただいた後、自宅でリラクゼーションサロンをしていました。会社設立にあたって、サロンは辞めようかとも考えましたが、お客様から「どこに行っても良くならない体調の維持管理ができるようになりました」などと、嬉しいお言葉をいただいていましたので、最初はそのまま自宅で続け現在はあぶらやと併設し営業しています。

なぜ伝統工芸品のセレクトショップだったのか？

もともと、吉祥寺でお店をするのなら海外旅行をするたびに出会うおしゃれな輸入雑貨の店をしたいと考えていました。ですが、国内旅行をしていて出会ってきた様々な工夫のされた工芸品たちの作り手がいなくなっていく現状に出会うこととなりました。せっかく若者たちが勉強し技術を身につけてくださっても、仕事にならなくては職業として成り立ちません。伝統工芸のお仕事が成り立つようなお手伝いのできる店があるといいですね。せっかく私は東京に住んでいる。作れば？ 作ろう！ となったことからはじまりました。

出会いから生まれること

大阪の北の方の街で育ったため文化財の宝庫、京都とのご縁は不思議なほどありました。幸せなことに、素晴らしい重要文化財に触れながら過ごすことが多々あり、最初の勤務先も京都でした。仕事は、航空宇宙機器の部品の設計。そのころの休日の過ごし方は400ccのバイクに乗りお寺を訪れ仏像に会いに行くこと及びお茶会や花展へ。今思うと、本当に恵まれた環境にいました。そこからニューヨークへ留学することとなり、華道をフラワーショップの方に教え、ホワイトハウスのフラワーアレンジを担当されていた先生を紹介していただけたことから様々なことを教わることとなります。当時、先生ご夫妻には1歳の子どもがいらっしゃいました。全米からフラワーショップのプロばかりが学びに来るそのスクールには、常にベビーカーに乗った先生夫妻の子どもとベビーシッターさんがいる中、楽しく学ぶことができました。後に日本に戻った私は、子どもと一緒に通えるフラワーアレンジメント教室を主宰し、私自身が子どもを持った後も、生徒さんたちの子どもたちと自分の子どもをベビーシッターさんにみていただきながら教室を運営していました。「先生が抱っこすると不思議と泣き止きやむんだよね」そのお言葉は、私の不思議な強みでもあり、出産、育児の経験から女性専用リラクゼーションサロンには、2か月以上の赤ちゃんからご一緒にお越しいただけるサロンとしたのです

なぜリラクゼーション？

ある時、いつもお世話になっていた叔父が脳梗塞で倒れ救急搬送されました。半身まひを宣告されたため私は叔父の入院する病院へ通い、本を参考にマッサージのようなものを毎日1時間行いました。退院するときの医師の言葉は『奇跡です』。いいえ、本当は奇跡ではないのですが、叔父の通常通りの生活に戻るという貴重な体験などをさせていただけたことから、手を使うセラピストの勉強をしたい！ と思うことからサロンを運営するに至ることとなりました。なぜ？ どうして？ どうしたら？ 知りたいことが沢山ありすぎて、施術や講習を働いた収入のほとんどを使って受けに行きました。家族や友人にモニターしてもらい自分でも驚いたことに、うどん！？を食べながらうたた寝していたこともありました。それでも、家族と接する時間は、大切にしたいと忙しければ忙しいほど、お弁当を作ったり犬の散歩も長くしてしまったり、自分の大切にするべきものは大切にしてきました。『明さんが自宅でサロンはじめたから私もできました』と、先輩セラピストで店長を務め、最近ママさんになり、一層きれいになられた友人は、自宅サロンを開設しました。一緒に勉強会をしたり今も施術についてお話したりしています。起業は「誰だってできる」ただ、その時その時の自身の生活スタイルを考えた上で、起業することが良いのか、就業している方が良いのかを考え、そのタイミングはそれぞれの生活スタイルに合わせて行けば良いのだと思います。そして、起業はどなたにでも可能です。

起業を志す方へのアドバイス

全ての出来事は必然である、という言葉はよく耳にします。出会う出来事、人々、全てが今に繋がっています。本物や理想を追えば追うほど、時にすれ違うこともあると思います。それだけに、共感し、高まり良いものが生まれてくることもあります。様々な出会いがあり、そこには必ず学びがあり、だからこそ正解はいったいどこにあるのかわからないものだと思います。起業をするに当たって、私のような始め方をされることはめったにないと思います。しっかり企画の計画を立て、どんな企業にしたいのかイメージを膨らませ、お金や時間の計画を立て、相談できる方や、仲間がいらっしゃると深まり、高まることが多いと思います。起業すると、本当にいろいろなことが起こります。いろいろな雑務も押し寄せてきます。そんな中どんなことも楽しむこと、窮地にいても特異点をぐっとポジティブな強みに変えていける柔軟さが大切なのではないかと思っています。小さなことでいいのです。成功体験をしっかり心に記録し続けてください。そして、ぜひ、起業する予定のタイミングでの資金や立地などの情報をしっかりとキャッチしてから実質的な行動を始めてみてください。きっとあなたに実りあるものとなる筈です。最後に、せっかくこの幸せな日本という国の東京、武蔵野というキラキラした街にご縁のあった者同士、一緒にこの武蔵野という世界で楽しくお仕事していきましょうね。