合同会社雄飛企画
津村 道夫さん
教育情報メディア
多摩地区にある全ての塾と公立中学校に配布するマガジン
多摩地区にある私立中学校、私立高等学校を紹介するフリーマガジンを制作しています。配布先は、多摩地区にある全ての塾及び公立中学校です。掲載校より協賛金を頂戴し、多摩地区にある塾及び公立中学校などに配布しています。 東京都には私立中学校高等学校が200以上あります。数多くある学校の中から多摩地区に住む受験生向けに地元の学校を紹介することで、多摩地区にある私立中学高等学校・塾・公立中学校・受験生をつなぐ媒体となり、それぞれにとって価値のあるものを目指しています。
人に説明するための文章作りに力を入れた起業の準備
起業は1年ほど前から意識するようになりました。その後は時間を見つけては、具体的な事業内容について考え、シミュレーションを繰り返しました。財務に関しては全くの無知でしたが、いろいろと調べていく中で、どのような支出が会社にあるのかなどを学ぶことができました。
また、同業他社の動向を調べ、金額の妥当性などを考えました。具体的に人と相談する段階では、自分の考えを文章等にまとめたうえで相談しました。人に説明するための文章を何度も推敲することで、自分の考えをまとめることができました。
広報担当の経験から、紙で配布するニーズにあった情報発信
私は起業前は私立高等学校の広報担当職員として働いていました。少しでも多くの生徒に自分の学校を知って欲しいと思い、様々な広報活動をしてきましたが、どうやって学校のことを受験生に伝えればいいかでいろいろと苦労していました。
広報担当の一つ大きな仕事として、塾や公立中学校の先生を訪問して学校の魅力を伝えることがあります。訪問しても先生方も業務多忙の中で私立高校の一校一校のことを頭に入れる余裕はない状況です。実際の進路指導は受験生一人ひとりに合った学校を考えるというよりも画一的な指導になりがちな状況が少なくないことが見えてきました。
また、どんなに先生方が自分の高等学校を知って「良い学校だ」と理解していただいたとしても、そのことが受験生一人ひとりに伝わることは実際にはなかなか無いということもわかってきました。その時気づいたのが、公立中学校と塾の先生方に、「口頭で紹介」していただくことよりも「紙で配布」していただけるようにすれば確実に確実に学校の情報が受験生に届くということ。そのためには、一つの学校よりも、複数の学校を紹介するものがあれば、結果的に先生方にとっても進路指導資料として有益なものになるので配布いただけるのではないか、と考えました。
そのころ、家庭の事情で退職することが濃厚になり、いっそ起業してみたらどうかと思うようになりました。そこから、様々な可能性を検討するようになりました。
地域を限定した学校を紹介するフリーマガジンで差別化
学校を紹介するメディアは以前からも多く存在していますが、当社の媒体のように、地域を限定して紹介しているものは他にありません。 (他は掲載地域や学校数が大きすぎて、受験生が学校を絞るにはあまり適していない状況です。) また、一部の塾だけでなく多摩地区にあるすべての塾へ配布していること、公立中学校にも配布していることなど、いくつかの点において他社では行っていない取り組みがあることが当社の媒体の特徴となります。
別の強みとしては、零細企業であるがゆえに経費があまりかからないため、他社が同様の媒体を制作しようとしても価格競争で負けることはないことと考えています。
家族との時間が取れるようになったことが起業の良いところ
私の場合は、起業することで家族との時間が取れるようになったことが良いことの大きな点です。私立高校の職員として働いていた時には、どうしても帰宅が遅く、また土日も時々出勤しなければならないということがあり、我が子との時間が思うように取れていませんでした。しかし、起業したことで自分の勤務時間を自由に調整することができたので、夕方は家族との時間、子どもが寝たのちにまた仕事の時間、という形で仕事をするようになりました。仕事の量が極端に減ったということではないですが、調整できるようになったことは、とても良かったことだと思っています。
また良い点は「自分の労働時間を売る仕事でなくなった」ということです。企業は「労働者の働いた時間」に応じて「報酬」を支払うというのが一般的な仕組みと思いますが、そうすると働く時間が短いと報酬も低くなるし、報酬を高くしたければ働く時間を延ばすしかなくなります。自分の時間を切り売りしている状況です。しかし、起業したことで、「働いている時間は報酬を高くするための投資」となりました。働く時間は同じでも、その労働対効果は全く違うように感じています。
起業を志す方へのアドバイス
この事業で展開すればうまくいくのではないか、というひらめきはとても大事だと思いますが、それを裏付ける作業を一つ一つ丁寧にやることはもっと重要なのではないか、と思います。自分のやりたいと思うことを文章にすることをお勧めします。そして、その文章を信頼のおける方に見ていただくといいのではないでしょうか。
「自分の考えをまとめる文章」と「人に読んで理解してもらえる文章」は違います。その際に参考になるのは融資を受ける際に必要となる創業計画書と思います。参考にされるといいと思います。
アドバイザーからの一言津村さんは今までは私立高校の広報担当で、起業後の今の仕事とは逆の立場でしたが、その経験を活かした紙面づくりが、広報したい学校の「強み」や「特徴」をしっかり引出していくことでしょう。高校受験の生徒に「価値ある一冊だ!」と言われるように頑張ってください。 株式会社マネジメントブレーン・i-office吉祥寺代表 静間 俊和 |