ステラベガ合同会社
古川 雅史 さん(ふるかわ まさし)さん
どのような事業をされているのですか?
当社はnCSPという次世代型コンテンツ・ソリューション・プロバイダーを名乗っており、専門スキルとノウハウでベネフィットのあるサービス提供でお客様の課題解決をお手伝いしています。他社と違うのは 「次世代」「スペシャリティ(これはコモディティに対して)」 「インテリジェンス(ヒューマンとAIも含みます)」を得意としておりまして、行政DXやNFTなどの比較的新しいIT分野とか、BtoBかつニッチでわかりづらい、だけど凄い技術が詰まった機械やサービスをわかりやすく伝える、ことが得意です。
いつから起業を意識されましたか? どのような準備をしましたか?
起業を意識したのは、起業するおよそ2ヶ月前です(笑)。わたしは、2012年から個人事業主として独立し、結婚式や七五三のスチール撮影のカメラマンとWebディレクションを行なっていましたが、起業は考えておらず、またうまくいきませんでした。ですが、仕事で業務委託で会社に常駐することが増えたり、新規事業を立ち上げて軌道にのせ、後輩を育成し承継し、また別事業への取り組みなどを行いました。そのなかでは、友人の会社の代表取締役や会社役員などを経験しました。当時はSEOを中心とした記事作成を月に500本ほど取り扱ったり、ホームページ制作、システム構築など、20年来Web制作に従事した経験を活かしました。それとともに、子宝に恵まれましたが、おりしもコロナ禍でテレワークの考え方やなるべく育児に携わりたい、年子の育児の難しさを理解してもらえないという考え方の溝が会社と埋まることなく、退社と起業を決意しました。おりしも友人をその会社に招き入れたばかりだったこともあり、友人の面倒をみたり、一緒にやりたいことを続けたかったのです。
起業のきっかけはなんですか?なぜ起業したのですか?
それまで個人事業主でしたが、家族と従業員の面倒をみるため、厚生年金や保険適用などが不可欠であったことがひとつ。また、一緒にやっていた若い仲間たちに私のノウハウを継承したいという思いと、彼らのスキルと私のスキルを掛け合わせたい、そして武蔵野市に非常にお世話になっていたので、地域に恩返しをしたいという思いで創業しました。ながらく個人事業主であった経験もありましたが、その独立はあまりうまくいったとは思えませんでした。その理由のひとつが「ひとりでやろう」としたこと。元々ディレクターの職務を主にやっていたのですが、ディレクターは周囲に人間がいてはじめて成立する職種です。それが個人事業主でひとりでやろうとしたことで早々に限界がきてしまいました。なので、今回は複数人の組織を元から考えて、起業しました。また、子どもが保育園に通っていることもあったり、コロナ禍での起業だったため、通勤を前提にしたものではなく、リモートで仕事がしやすいようコミュニケーションツールなどを導入して業務を行いました。
あなたの事業の強み、アピールポイントは何でしょうか?
当社はオルタナティブ教育、つまり学校では教えてくれないことを知ることができる事業をおこなっています。「12歳からの知的生存戦略」というキャッチフレーズで「サバ流(商標登録出願中)」という、日本が世界的にみて遅れているテーマを取り上げて、作っています。ひとつは、「税制とお金」。ふたつめは「性教育とジェンダー」、みっつめは「気候危機」です。なぜ、こういうことが必要かというのは、今年4月1日から、18歳で投票行動をできるようになりました。しかし、どこに投票するのかを考えるための前提知識が、学習指導要領には、ほとんど含まれていないのが実情です。ですので、そうした投票に資する知識をテキストや、専門家の動画セミナー、オンデマンド動画配信、くわえて、その先には、「有権者」と「非有権者」、つまりは中学生とおじいさんがコミュニケーションできるようなオンラインサロン、こういうのはメタバースになるかもですが、つくりたいと考えています。
起業して感じることは?
従業員を雇ったり、辞めてもらったりすることのむずかしさ、企業経営のむずかしさなどほぼすべてむずかしいと思いました(笑)。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻、円安、政治家への襲撃などいくつも10年に一度や100年に一度の出来事があり、本当に先が読めない経済状況で、なぜこんなときに起業したのだろう、と自分でも思うことがよくあります。自分で方向性を探していく、自分の判断が手がかりだということ、そして、社長の横つながりが商工会議所や法人会などに加入していて広がったことは良かったことです。経営がうまくいかない時に助言をもらったり、どのように危機を切り抜けたのかなど勉強になる話を聞くこともしばしば。またビジネスアイデアを出し合ったりもしていて、新しい視野が開かれたり、古くても着実なビジネスが再発見できたりします。悪かったことは、書ききれないぐらいありますが(笑)、あげるとすれば 「恨まれる」ということですかね。辞めてもらった社員は最初はかなり私を尊敬していましたが、最後は憎んでいました。人を見極める難しさを実感しました。
起業を志す方へのアドバイス
長引くコロナ禍や不安定な経済状況など難しい時代でもありますが、多様性が尊重・認められはじめた現在は、自分がやりたいことに真剣に取り組むことができるチャンスでもあります。泣いても笑っても一度きりの人生ですし、後悔のないよう働くためにも起業はひとつの選択肢です。わたしは、かけがえのない自分の子供たちと過ごす時間を増やしたり、突然の病気や通院など育児に携わる機会を自分である程度コントロールできます。子どもが産まれて生活が変わるタイミングは、もしかすると、起業を考えるタイミングのひとつかもしれませんね。
アドバイザーからの一言掲載のお写真や内容から、古川さんの「子育て」への意識の高さが伝わります。10年前より個人事業主として独立し、会社の代表や役員の経験もある古川さん。機が熟したところで子宝に恵まれジャストタイミングだったのですね。確かに昨今、予想もできないようなことが次々起こり、先行きの見えない不安定な時代。しかしおっしゃる通り、こういう時代にこそチャンスが多いというのも事実。古川さんのようなビジネススタイルも、当たり前な世の中がすでに来ているのでしょう。 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |