スペースMIRAI小松事務所
小松 隆志(こまつ たかし)さん
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どのような事業をされているのですか?
中小企業診断士、社会保険労務士、行政書士などの資格を活用して、主に中小企業様への様々な支援業務を行っています。現在最もボリュームの大きいのは、政府系公的支援機関での海外販路開拓や経営上の課題に対するアドバイス業務です。また、支援金·補助金の関連業務、人材育成や組織構築の支援や関係する内容の寄稿、企業の働き方改革に関連したテレワーク制度導入支援業務などを行っています。
いつから起業を意識されましたか? どのような準備をしましたか?
漠然とした起業への意識は、10年ほど前から持っていました。会社員として海外赴任中でしたが、日本を拠点とした起業をイメージしていました。外国人と仕事をすることが楽しく成果を感じられると思えたころで、自分の経験を少しでも多くの方々の参考にしていただきたい気持ちが生まれてきました。ですので、今までの経験の中の必要な知識の整理と資格の取得などの勉強をすることから始めました。そのことで、徐々に自分の中で起業が現実味を帯びてきました。それから、家族の理解を得ること。そのために、起業した場合に自分がどのようなことをするのか、しっかりと説明できるようにと、業界のことなども勉強しました。そして結局は、定年退職を直前にそれまで新入社員から勤務していた会社を辞めて大学院に入学し、気持ちとしては起業前の最後の仕上げをしました。大学院での勉強は多くの自分よりも若い人たちと一緒で体力的にも大変でしたが、サラリーマン精神から脱皮するにもよい機会でした。その後大学院を修了してすぐに、今の業務を始めました。
起業のきっかけはなんですか?なぜ起業したのですか?
起業を意識したのが10年ほど前とお話ししましたが、その時はアフリカ勤務で、私を含め家族持ちのすべての駐在員が単身赴任でした。そんな中、拠点のトップで私の唯一の上司の日本のご家族が大変重い病気になり、その看病やまだ小さかったお子様のお世話とアフリカ勤務の両立が大変困難になりました。私の上司は大変責任感の強い方で、この両立を本当に成し遂げようといろいろと考えていらしたようですが、当然のことですが、結局それは無理なことと決断されて会社を辞めることを前提にいろいろとその後のことを検討されていたようです。その選択肢の中に、日本で資格を活用した起業があったようで、私にそのことを話しました。私なりになにか意見が言えればと考えたのですが、恥ずかしながらその資格(現在私が活用している資格のうちの一つです)のことすら知りませんでした。この上司は結局、日本の本社に転勤することができ帰国してそのまま同じ会社で勤務を継続しました。私はそれまで会社人生以外の生活を考えたことがなかったのですが、このような起業という道もあることを知りました。また、私が最終的に起業を決意した理由は、漠然とした起業への意識とその準備の中で、会社員生活が修了した後も長い間、自分のやりたい仕事を続けていきたいとの気持ちが強くなったことです。あと少しで定年退職とか、海外に居ると退職への行動が大変だとかはあまり考えませんでした。
あなたの事業の強み、アピールポイントは何でしょうか?
1つは、会社員としての長い業務経験です。国内だけではなく、多くの外国に赴任や出張をさせてもらいました。日本人が海外でいかにビジネスを行うか、ビジネスパートナーや従業員の外国人といかに付き合うか、そしてそれがうまくいった場合に、ビジネスの成果だけではない人と人との関係としての喜びを感じられることを経験させてもらいました。これらのことを肌感覚で経験できたことは、大変貴重な経験です。2つ目は、その感覚を資格試験勉強や大学院での学びにより、あらためて体系的に整理することができたこと、そしてそれにより必要とする方々へ説明できるようになったことがあると感じています。私の事業は形があるものではありません。最終的には自分が感じているこのアピールポイントをいかに皆さまにお伝えできるかが重要と考えております。専門誌への寄稿などはその一環です。まだまだ勉強が続きます。10年前までずっと勉強が嫌いだった自分が、今頃になって取り戻している感じです。
起業して感じることは?
良かったこと
1,自分で自由に使える時間が増えたこと。もちろん企業様との面談など拘束される時間はありますが、その面談を設定するのもしないのも自分次第、日程調整も自分の都合も考慮できます。
2,ある程度自分のやりたい方向の仕事ができること。やりたい方向の仕事であれば、その中に自分の不得意なことが含まれていても、強いブレーキにはなりません。
3,お客様に感謝されること(があること)。もちろんすべてではありませんが、たまにお力になれた時に、感謝の言葉をいただくことがあります。会社員の時代には、会社に対して感謝されていると感じることはありましたが、今は自分に対してです。最高の仕事へのモチベーションになります。
次に悪かったこと
1,コロナの影響もあるかと思いますが、やはり会社員時代と比較して、孤独感はあります。これは、常に仲間が周りにいるわけではないこと、会社という組織に囲まれていないことがあります。
2,1に関連して、組織に属していないことから、やはり経済的な安定感がないことです。来年の今頃の自分がどうなっているのかはわかりません。(それが楽しみでもありますが)
3,コロナの影響もあり、テレワークもあり、自宅にいる時間が以前よりはるかに増えています。それにより家事をやらされることが多いこと(笑)
起業を志す方へのアドバイス
私は会社を定年直前で辞めての起業ですので、若い方には参考にならないと思いますが、経験と経歴の違いに注意することは必要と感じています。起業後にはそれまでのご自身の経験は大変役に立つと思います。しかしながら、会社員であれば、お客様はバックにある企業に期待して対応しますが、個人や仲間と共同して事業を行う時に過去の経歴はほとんど関係ありません。お客様はかつて勤務していた企業ではなく、今目の前に居る自分だけと話しをしていることを理解して対応することが重要だと考えます。
アドバイザーからの一言小松さんのお話には、これからの起業の一つの事例として、様々なヒントが見えました。人生100年時代と言われ、定年退職後の働き方やシニアの働き方が大変重要な時代を迎えています。今後シニアの起業がますます増えるのは必然です。また、小松さんのお仕事で言えば、海外でのビジネス経験が豊富なことは、士業(支援者)として大変強みになります。日本国内は人口減少とともに市場も縮小しつつあり、海外事業を視野に入れた起業が、さらに増えると予想されるからです。 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |