ヒューマンエディット株式会社
三浦 卓広(みうら たかひろ)さん
企業の悩みを解決に導く支援
管理部門の強化がなかなか追い付かないスタートアップ企業や成長期に差し掛かっている企業の悩みを、社外管理部門の立場から支援をしています。具体的には、独自に開発した社員の大切な情報を管理する人事記録データベース「ヒト録」を活用して、経営トップの人材観にマッチした人事管理をサポートしたり、経営トップも頭を抱えてしまうような人事労務面での問題が発生した際に、それを狙いどおりの解決に導く支援をしています。
一念発起して大学院でスポーツを学ぶ
前職が若者を主なターゲットとしたエンタテインメント企業で、年寄りがいつまでも管理職の席にふんぞり返っているのはまったくもって似合わない風土でしたので、40代後半から退職→起業を意識していました。10代からスポーツ(サッカー)にどっぷり浸かってきて、40歳でサッカーの指導者ライセンスを取得、長男が小学生だった時は、その長男が所属するサッカークラブで実際に指導もしていました。このあたりから「ひょっとして自分が一番自分らしくいられる仕事はスポーツ事業なのではないか?」と思い込みが始まります。とはいえただの「運動好き」なだけだったので、ここで一念発起してスポーツを学び直すべく、大学院一般入試にトライ、運よく合格できて2年間大学院でスポーツを学び直しました。ここでスポーツビジネス業界、教育業界、パラアスリートの皆さんとのネットワークを広げ、並行して資金の準備をしていました。
やりたいこととできることは違う
そもそもスポーツ好きなところから働く上での自分らしさはスポーツにあると大学院で学び直したり、ネットワークを広げたりしていたのですが、学べば学ぶほど、知己が増えれば増えるほどスポーツ業界で立ち上がる難しさを痛感しました。当時私を含めてやりたい人はたくさんいましたが、その業界にいたわけでもない者が「好き」なだけで事業を興せるほどスポーツビジネス業界は甘くないことを知らされました。やりたいことを実現するために大学院で研究したり、ネットワーク拡大に時間とエネルギーを使ったりしたのですが、結果的にやりたいこととできることは違うのだとうことに気づかされてしまいます。ここで初めて自分のこれまでの人生の棚卸をしてみました。その結果、前職で担当していた業務に最も強みがあることがわかり、いったんスポーツは横において自分の強みで立ち上がろうと思ったわけです。
人事に関わる20年以上の経験
前職のエンタテインメント企業では20年以上人事に携わってきました。生身の人間相手の仕事ですので、神経も使いましたし、新しく仲間になってもらう「採用」のような楽しいことだけでなく、残念ながらつらい別れもありました。罪を憎んで人を憎まずで向き合ってきましたが、一緒にやってきた仲間に出て行ってもらうことほどキツい仕事はありません。どんなに社会が変革に突き進もうとも、働くという概念が変化しようとも、人間がその組織からいなくなることはありません。そして人に関する問題に一発で解が出る公式もありません。人間は一人一人全員性格も価値観も背負っているものも異なります。したがって、この手の問題が起きたときにモノをいうのは経験なのです。私はひたすらこの仕事を約四半世紀やってきました。今では組織における人の問題で私に対応できないことはないと思っています。
起業して悪かったことは一つもない
現在3期目の後半に差しかかっていますが、強がりではなくて本当に悪かったことは一つもありません。結果的に53歳で起業しましたが、55歳独立をターゲットに40代後半から少しずつ準備していたこともあって、2年早まりましたがうまくランディングできました。今は毎日が楽しく、誰か他人に操作されないということがこんなにも幸せなことなのか、を実感しています。会社のような組織では、たとえ課長だの部長だのと偉くなったとしても、「助言としては聞くが、決める時は自分で決めるので放っておいてくれ」はなかなか通用しません。私はこの独立起業で自然の流れで付き合う人間が一新され、自分のために他人を操作しようとする人たちは周りからいなくなりました。確かに何もかもが保証されてるわけではありませんので毎日気は抜けないですが、毎日朝が待ち遠しくて自分らしく生きていることを感じられるのは、起業したからこそだと思います。
起業を志す方へのアドバイス
起業してまだ2年半しか経ってない私に気の利いた助言はできませんが、振り返ってみると準備がすべてかなと思います。ある日突然目の前にチャンスが来ることもあるかと思いますが、それにポンと乗れるのもある程度の準備があってこそではないかと思います。あとは人的ネットワークですね。私に発注してくれている会社の社長の半分以上は、5年以上濃い付き合いがあった方々です。立ち上がると決めたらまずは自分自身をしっかり棚卸して、焦らないで余裕をもって準備してください。
アドバイザーからの一言「起業」を志し、しかし何をやるかは後から決まった三浦さん。「やりたいこととできることは違う」ということに気が付き、ご自身が一番好きだったスポーツ事業をいったん横に置き、現在のお仕事で起業したことは、大変な決断だったのではないでしょうか? 好きなことだと客観的な判断ができなくなるものです。「突然のチャンスに乗れるのも、準備があってこそ」。説得力がありますね。きっといつか、スポーツ事業にも挑戦されるのでは?(笑) 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |