株式会社オフィスソリューション
宮﨑 敬(みやざき たかし)さん
オフィス業務の事故防止と生産性向上のコンサルタント http://office-sol.com/
業務改善や人材育成のお手伝い
オフィス業務の事故防止、生産性向上のためのコンサルタント会社です。「事務ミス防止」をはじめ、真の生産性向上を通じて残業や人員の削減を実現するための業務改善や人材育成のお手伝いをしています。現状分析を通じての課題整理、その課題を達成するためのプログラム提案、そしてさらに実践に必要な考え方やノウハウに関するセミナーなどを行っています。お客さまは大手金融・証券グループ会社をはじめ、学校や年金関連のお役にも立っています。
事業として成り立ち、継続できるモデルをつくることを課題に
起業をはっきり意識し始めたのは、創業の3年くらい前から、具体的な準備に入ったのはその半年後からです。幸い、勤務先の信託銀行グループ内で研修やアドバイザーの仕事をすでに行っていたこと、個人的に参加していた研究会などで勉強し、ノウハウの蓄積や執筆・講演の実績があったことは裏付けとして大いに役立ちました。また、55歳から仕事の傍ら通った大学院で経営工学を学び、修士課程を修了したことも自分の自信につながりました。
したがって、起業の準備としては、事業として成り立ち、継続できるモデルをつくることが課題でした。幸い、大手損保会社役員の方が私の著書等を通じて共鳴してくださり、その方と二人で創業することとなりました。その方には主に営業面をお願いし、私が企画およびコンサルタント実務を中心に担当する体制としました。想定されるクライアントが大手の金融機関や企業であることから、会社の形態も株式会社とするのがベストとの結論に達しました。私が住んでいる吉祥寺でも創業支援制度にもとづくサポートが受けられることを知り、創業セミナーを受講して株式会社設立登記の登録免許税の軽減のメリットを受けることができました。
人間の失敗や、事務という仕事の性質などについて勉強しました
私は信託銀行に37年間勤務し、証券代行、証券事務管理など、お客さまのために事務サービスを提供する仕事を長年担当してきました。これらの仕事の中では当然「事務ミス」は許されません。どうすればミスを防ぎ、正しい事務を行えるかについての情報を必死で探しましたが、ほとんど見当たりませんでした。
試行錯誤の末、人間の失敗や、事務という仕事の性質などについて自分で勉強し、職場で自主的な勉強会などを実施した結果、ある程度の手応えを感じることができました。その成果を社内出版で発刊したところ、予想以上の反響があり、それをきっかけに社内外での勉強会の講師を頼まれる機会が増えていきました。さらに、金融関係雑誌への連載や書籍の執筆の機会にも恵まれ、「事務学」として体系化することができました。このような活動を「定年退職後」も継続するための方法を考えました。コンサルタント会社に「就活」で訪問したこともありましたが、すぐに仕事が見つかりそうもありませんでした。また、長年に亘り「宮仕え」をしてきたので、これからの人生、今までとは違った働き方をしてみたいと考え、「起業する」と心を決めた次第です。
情報の出し手と受け手の連携を確実に行える人材の育成
私は、情報の加工と連携を通じてサービスを提供する仕事を「オフィス業務」と呼び、そこで起きる事故やトラブルを防止し、さらに生産性を向上する取り組みを通じて人材を育てることを目指しています。営業や証券などのマーケット運用をしている人も、書類の作成や他セクションへの連絡など、「事務」的な仕事をたくさん行っています。サービス提供を設計どおり実現するためには、それらの一連の作業が正しく実行され、情報の出し手と受け手の連携が確実に行われることが必要です。まず、このような対象範囲のとらえ方に独自性があると考えています。その上で、信託銀行グループ内での長年にわたる実務マネジメント経験で得たノウハウを経営工学などの理論を裏付けに独自に体系化していることが最大の強みと考えています。
さらに、同グループ会社経験の中で、5年間にわたり社内講師として身に付けた研修開発やインストラクターとしてのノウハウ・スキルも大きな財産だと実感しています。まさに、これらを最大限に活用して、他社にはない、オンリーワンサービスをご提供できることがアピールポイントです。
起業すると、自分の考えと方針ですべて自分の想いのままに
「雇われて働くことと、事業主として仕事をすることはまったく異質なもの」と言うのが一番の実感です。例えば、組織の中で仕事をしているときは今日来たメールの返信が仮に2日くらい遅れても、「社内の確認待ち」「出張や終日外出」など、さまざまな理由(言い訳)があるので気になりませんが、自分が会社の代表になると、些細なことでもすごく気になります。
起業して良かったことは、自分の考え、方針に従ってすべての事を決めて実行できるということです。メインテーマ、メインターゲット、コンセプト、すべてが自分の想いのままにできます。しかし、これは裏を返せば、それらがどんなに的外れで無謀なことでもそのままやれてしまうというリスクもあります。
この点、現在は二人の顧問(現職社長+元会長クラス)の方が強力なサポートをしてくださるのでとても助かっています。私は現在、資料作成等の実務はすべて自宅で行い、対外的な事務所表示等はシェアオフィスのi-office吉祥寺のお世話になっています。この方法が自分にとって最も効率的かつ経済的と感じています。そして、この方式が維持できるのも、すべて妻のサポートのおかげと感謝しています。妻の理解を得て協力しあうことは、これから自宅で起業される男性諸氏にとって忘れてはならない重要なポイントと考えます。
起業を志す方へのアドバイス
一番大事なのは自分の強い「想い」です。これがエネルギーの源泉です。その上で、自分のお客さんの姿をできるだけ具体的に想像して、その人々が何を考え、何を望んでいるかを常に考えることだと思います。私も「自分が伝えたいことと、お客さんが知りたいことは全く別」といつも自分に言い聞かせています。そして、常に「オンリーワン」を誇れるように、自分にしかないものを見失わないことだと思います。
アドバイザーからの一言信託銀行を勤め上げた宮崎さん。なんと定年退職した翌週に会社を設立したとのこと(笑)。それだけしっかりと準備ができていたという事例です。勤務時代、社内出版や講師業で得た唯一無二の知的資産。これらの見える化、コンテンツ化は、起業決意の後押しになっただけでなく、事業拡大の最大の武器ですね。 中小企業診断士・マーケティング塾代表講師 姫野 裕基 |