めいぷるえいご
髙橋 麻子(たかはし あさこ)さん
いつ創業し、どのような事業をされているのですか?
2016年に創業しました。国内でバイリンガル教育に興味があるご家庭や幼児期や小学校の間に数年、海外で生活経験があるけれども、帰国後に日本の学校との両立を目指すご家庭向けにバイリンガル教育を全国に向けてオンラインで提供しています。2024年には小学校2年生から4年間学習した生徒さんが小学校6年生で英検1級に合格しました。当教室では保護者さんからも高いレベルの英語力が求められていますが、全身で英語の音を感じられる力が付くように、最近は英語リトミックにも力を入れています。
創業のきっかけを教えてください。またなぜ創業したのですか?
私はカナダ育ちの日系人の夫と国際結婚でしたので日本国内で娘を日英完全なバイリンガルに育てようとしていましたが、日本の今の英語教育に頼っていては無理だと思いました。当時まだインスタグラムも主流ではなく、情報が限られている中でバイリンガル教育の成功談は主に欧米に住んでいたケースがほとんどでした。しかし、海外でバイリンガルを育てるのと、日本語を疎かにしないで英語を無理なく身につけるのは環境が全く違います。それでも吉祥寺近辺には東京の中でもレベルの高い英語スクールがいくつかあり、その一つにアメリカのホームスクーリングのカリキュラムを利用して、アメリカのお子さんたちと同レベルの学習が日本の学校に通いながら可能なものを見つけました。そのため娘が小学生になるときに吉祥寺・三鷹エリアに引っ越してきました。当時私はアメリカの公認会計士の試験に全科目合格したばかりだったのですが、子育てや勉強疲れの反動で体調を崩し会社通勤は控えることにしました。そこで在宅で無理のない範囲で近所のお子さん向けに月に数回だけ英語を教えることにしたのが創業のきっかけです。娘のアメリカのホームスクーリングの学びの過程をSNSで発信していくうちにいつの間にか沢山の保護者さんが見てくださるようになり、反響を呼び、日本全国だけでなく、海外在住のご家庭からも日本帰国を視野にサポート出来るようになりました。
創業してしばらく経ちました。実際にやってきてどうでしたか?
思ったよりも経営面において苦労したこと:
(1)デザイン面:ブランディング、ロゴ、名刺づくりなどは経験が全くなく1から試行錯誤で納得がいくものに仕上がるまでに数年かかりました。
(2)ITツール:生徒さんが20名を超えたあたりから、スマホでのLineでのやりとりの管理が難しくなりました。
(3)経理:クラウドの経理ソフトを使用して、自分で仕分けを行うことから始めましたが売り上げが上がるにつれて、このままで良いのか正しく計上できているのか不安が大きくなってきました。
(4)マーケティング:開業当初は自分の立ち位置が分からず方針が合わない顧客層を見極めることが出来ずに心身ともに消耗してしまうこともありました。
(5)セールス:売る、単価をあげるということの経験が少なかったため難しく感じていた部分がありました。
ラッキーだったこと:
(1)早い段階でブログやインスタグラムからファンが出来、集客が安定したこと。
(2)場所を借りずに固定費を抑えられたこと。
(3)時代背景的にオンライン環境が整ったこと。オンラインレッスンが可能になり、地方へバックオフィス業務を外注でき、チーム戦で作業したり、お互いアイデアをシェアできる時代になったこと。
苦労や想定外のことをどう乗り越えましたか?
(1)デザイン面:少しずつコストをかけ過ぎずに作ってもらっていましたが最終的には信頼できる知り合いに頼み、これまで積み重ねたデザインを統合してもらいました。現在はバックオフィスにデザインは外注し統一感が出て、ブランディング力は上がっていると思います。
(2)ITツール:夫がITに詳しいので最先端のコミュニケーションツールを採用することをアドバイスしてくれました。海外在住の先生、外注さんもこちらのツールを使っているため、10人くらいのチームがこのツールを使い、日々の教室の業務をリモートでスピーディーに支えてくれるようになりました。
(3)経理:クラウドの経理ソフトを使用したかったので、クラウドやITに強く相談しやすい税理士さんを探すのに苦労しました。最終的には同級生の税理士さんに頼みコミュニケーション力の高いスタッフの方をご紹介いただきました。
(4)マーケティング:商工会議所の専門家から定期的なアドバイスを頂いてます。客観的に見てもらい自分にとっての最適な顧客層というものを改めて設定し直しました。
(5)セールス:地域や業界の相場なども鑑みますが、値段は自分の自信の表れでもあります。地域1番のサービスを提供する自負を持っているので毎年少しずつ単価も上げました。
(6)仲間づくり:この人は!と思った人がいたら、少しずつ仕事を依頼し、いざという時のために信頼構築をしておくと良いです。
今後の展開を聞かせてください。
教室の基盤が整い、現在マンツーマンのオンラインレッスン以外にも新しい挑戦を始めており、空いている時間に出来る教育機関での講師業を始めています。きめ細やかに対応するため教室は満席となっており、すべての受講希望者を受け入れることが出来ていません。今後は企業講演講師としても活躍して、そのリソースを教室運営や人件費に充て、教室の基盤をより強固なものにしていきたいです。(3年後の目標)企業講演講師として確立。(5年後の目標)英語の先生向けの講座を展開。自分1人が教えているだけだと、教えられる人数に限界があります。今後は同じ志を持つ先生達と一緒にめいぷるえいごのメソッドを共有していきたいです。(10年後の目標)真の目標:勉強は楽しく出来るんだというアイデアを世界に広げる。成果が目に見えないとお稽古を続けていただくのは無理なので、今の英検学習を重視するスタイルで落ち着きましたが、現代の日本では勉強するということが中学受験の過熱や親御さんの育児ストレスから一歩間違えると苦になりやすい環境でもあります。しかし音楽や感覚的な学習を通して、子どもたちは遊びの中から本当は沢山の事を学べます。今、私が教えてきた子供たちが次のリーダーとして成長してきており、また別の子供達に英語や日本語を学ぶのを手伝ったり、音楽活動を通して楽しめる学びの輪を広げ始めています。
起業を志す方へのアドバイス

起業したいけれど、何が出来るのだろうという・・・と思考が立ち止まってしまううちは今の生活の糧になっているお仕事を完全に辞めない方が良いです。また学歴やスキルがあっても、人を集めることが出来なければ個人で仕事をするのは難しいので、今お持ちの権威や看板がなくても人集めが本当に出来るかを今一度考えてみてほしいです。サービスにより誰かが満足してくれたら100円のサービスでも起業の始まりです。最初の一歩は小さくても出来ます。100円が1000円に、1万円に100万円に、その繰り返しです。
アドバイザーからの一言「誰かが満足してくれたら、100円のサービスでも起業の始まりです」というお話に、深く共感します。まさに髙橋さんご自身がその言葉を体現されています。髙橋さんとは、ちょうど10年前の2015年、女性創業スクールで出会いました。当初はご本人もおっしゃるように、比較的控えめな事業計画だった印象があります。しかしその後は、時代の流れを味方につけながら着実に事業を発展させてこられました。今では3年先、5年先、10年先を見据えた明確なロードマップを描かれ、「小さく始めて大きく育てる」という起業のセオリーを実践されている好例といえるでしょう。 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |









