税理士法人 Future Consulting 代表
小澄 健士郎(こすみ けんしろう)さん
はじめに
東京都武蔵野市で税理士業をしています、税理士法人フューチャーコンサルティング代表の税理士・行政書士の小澄健士郎と申します。私がここ吉祥寺の地で開業をしたのが、今から13年前の2012年。ヨドバシカメラさんの隣にある、永谷シティプラザというマンションの1室からスタートしました。当初はお客様もほとんどなく、商工会議所様のセミナー活動などを通じて、ここ武蔵野市のお客様を中心にご縁を頂き、今に繋がっております。愛すべき、ここ武蔵野市。武蔵野市の事業者の皆様が末永く繁栄して頂けるように、日々活動しています。とはいえ、コロナをきっかけとした社会環境の変化や、生成AIの急速な普及。社会の変化がどんどん進む中で、事業者の方を取り巻く環境は大きく変わってきています。そして、今後も、益々急激な変化が起きる事は想像に難くなく、避けて通れません。そして、人生100年時代。持続的な社会保障制度に黄色信号がともる中、私たちは、今後長く働き続ける事がより必要になっている社会に生きていると言えます。特に2050年に向けた人口・社会構造の変化は大きな転換点となります。今回は、主に従業員10人以下の事業者が持続可能性を確保するには、何がポイントになるのか。未来を全て見通すことはできませんが、データを基に実際中小企業を支えてる実務を通じて感じているポイントを解説させて頂きます。
⒈ 高齢化の進展と顧客ニーズの変容に対応する
武蔵野市では、2022年の高齢化率(65歳以上割合)は22・6%でしたが、2052年には32・4%に達すると見込まれています。また、別の資料では高齢化率が2050年には30・2%に上昇し、3人に1人が高齢者となると予測されています。この高齢化の進行は、小規模事業者にとって以下のようなビジネス機会と課題を示唆しています。
1)高齢者向けサービスの開拓:
買い物代行、配食サービス、巡回相談窓口など、日常生活支援の分野は、確実に市場が拡大します。
2)商品や店舗・情報発信の工夫:
読みやすい大きな文字、段差の少ない店舗設計、音声案内など、高齢者が使いやすい環境整備が信頼と支持につながります。
3)オンラインとリアルのすみわけ:
大企業では遠隔で相談できるサービスや、注文~受け取りの宅配併用など、利便性の向上が想定されます。そのため、地域に密着した丁寧なサポートが差別化に繋がります。
⒉ 要介護人口の増加に着目したビジネスチャンス
武蔵野市の要介護(要支援)認定者数は、2024年の7千270人から2050年には1万1千190人と、約54%の増加が見込まれています。特に要介護3~5の重度高齢者は全体の約36%を占め、重度化対応が求められます。この動きを受け、小規模事業者には以下の新たな可能性が広がるでしょう。
1)介護支援と連携したサービス業:
訪問理美容、居住空間のバリアフリー改修、家事代行など、高齢者の日常に密着したサービス展開が可能です。
2)介護事業者との連携強化:
有償/無償の紹介ルートを構築し、相互の顧客基盤を支援し合う協力モデルが考えられます。
3)安心感の提供が価値に:
「顔なじみの店舗」「信頼できる地元事業者」として関係を築くことで、価格競争よりも「安心」「対面」に価値を置くビジネスへ移ることで大手と差別化を図ることが重要です。
⒊ 昼間人口の維持・増加を活かした工夫を
武蔵野市の昼間人口(※登録人口を含む商業・通勤などによって増加する人口)は、2050年に16万6千455人まで増加すると見込まれています。これは「住民以外の利用者層」の確保に重要な視点です。
1)通勤・通学者向けの需要を取り込む:
朝食・ランチメニュー、コーヒースタンド、雑貨店など、日常利用しやすい品揃え・営業時間が強みになります。特に人員確保が難しい中、営業時間をどうするかは、今後差別化のポイントだと思います。
2)地域イベントやコラボ活用:
商店街や自治体が主催するイベントへの出店、地元大学などとのコラボレーションも、昼間層へのリーチに有効です。特に、吉祥寺の週末の人口の多さを活かすことは他エリアと異なり、ビジネスチャンスでもあります。
3)多様な層にリーチする発信:
SNSや地元情報サイト、駅掲出広告など多様なメディアを活用し、「昼間人口」をターゲットとした情報提供を強化しましょう。
⒋ 働き手確保・雇用の柔軟化で持続性を高める
高齢化と人口構造の変化は、働き手の確保にも影響します。人口減少と高齢化が進む中、小規模事業者は雇用が難しい現実と向き合いながら、しかし大手との差別化を図るためには、対面サービスの重要性などが必要であり、難しいかじ取りとなります。そのため、柔軟な雇用構築が不可欠です。
1)シニア・副業人材の活用:
退職後も働きたい高齢者や、複数の職場で働く人に対し、短時間勤務、業務スキル活用、アットホームな職場環境を提供することで、雇用の安定化を図ります。
2)女性の受け入れ強化:
育児中でも働きやすい制度を進めることで、多様な人材が活躍できる職場になります。
3)業務プロセスの見直しと効率化:
ICT導入(予約システム、会計クラウドなど)により、省力化と業務の標準化を図りつつ、少人数での業務継続を可能にします。
⒌ 地域との共創による小規模事業者のネットワーク構築
武蔵野市においても、単独の店舗より地域全体での取り組みが新たな価値を生み出します。
1)事業者同士の連携:
複数の店舗・サービスを束ねた共同キャンペーン、相互紹介制度など、顧客誘導と発信力を高める仕組みが有効です。
2)行政・NPOとの協働:
子育て支援、買い物支援、高齢者向けイベントなど、社会課題解決と地域活性化に寄与する活動を通じて、地域からの信頼と認知度を高められます。
3)共助の場づくり:
シェアオフィス、共同使用スペース、事業の試験的出店など、社会的つながりと利用機会を創出することで事業リスクの軽減と新たな顧客接点が得られます。
おわりに
武蔵野市では2050年に向けて、高齢化の進行、要介護認定者の増加、昼間人口の維持・増加が見込まれ、小規模事業者にはこの3つの視点での戦略構築が鍵となります。そして、人材不足は今後益々加速します。人材に依存したビジネスは持続性においてリスクが高いビジネスモデルとも言えます。高齢者対応力、働き手への柔軟な対応、地域との連携強化、昼間層への訴求力を併せ持つ事業モデルが、持続可能性と地域からの信頼を支える礎となるでしょう。時代の変化が今後益々激しくなっていき、人口減少により日本国内のマーケットは今後急激に縮小されることも想定されます。その中でも、ここ武蔵野市は、大きな人口減少は当面ありません。しかし、急速に高齢化は進んでいきますので、時代の変化に対応しながら、自分たちの強みを活かしたサービスを展開していくことが今後益々大切になります。何かありましたら、i-officeの専門家たちに頼ってください。地域の皆さんに寄り添ってサポートさせて頂きます。世の中の不透明さは増しています。ぜひ、皆さんの力を結集し、この社会の荒波を一緒に乗り越えていきましょう!!
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税理士法人フューチャーコンサルティング






