武蔵野商工会議所 会頭
株式会社武蔵境自動車教習所 代表取締役会長
髙橋 勇(たかはし いさむ) さん
武蔵境自動車教習所の代表取締役会長であり、武蔵野商工会議所の会頭でもある髙橋勇さん。武蔵境自動車教習所は娘の明希さんが社長を承継され、今年で創立65周年だそうです。二期目を迎えた武蔵野商工会議所の会頭として、武蔵境自動車教習所の代表取締役会長として、これからの抱負と創業者へのアドバイスをお伺いしました。
武蔵野商工会議所の会頭として一期目にされたことはどんなことですか?
私は常に「なぜ私が商工会議所の会頭になったのか」ということの意味を考えています。それまで70年間ずっと吉祥寺の方が就任されていましたが、初めて武蔵境から私が会頭にご指名をいただきました。武蔵野市はやはり吉祥寺が中心であり、武蔵境は武蔵野市の西のほうに位置しており、吉祥寺とは街の規模も違います。そんな中で、なぜ私をご指名いただいたかを考えると、やはり私の地域に対する“念い”や、武蔵野市に対する貢献などを評価していただけたのではないでしょうか。商工会議所の会頭として武蔵野市にどのように貢献できるか、どのように地域を活性化できるかということが私の大きな目標です。そのために、一期目は武蔵野市が世界に誇るコンテンツである「アニメ」を最大限に活用することを考えて、「アニメのマンガのムサシノ」というプロジェクトを立ち上げました。武蔵野市には「吉祥寺」「三鷹」「武蔵境」の3つの駅があります。この3駅がそれぞれに活性化することで、結果的に武蔵野市全体が活性化することになります。プロジェクトの実行委員会には3駅でそれぞれに特徴のある事業を展開して欲しいと依頼して、若い人たちが中心となって、毎年一回、「アニメのマンガのムサシノ(アニマン)」の活動を行っています。
一期目で「アニマン」をやってみていかがでしたか?
会社の経営も同じなのですが、事業を通して人材が育ちます。若い人たちが地域を愛し、自分たちの力でよりこの街を活性化しようという「念い」が醸成されていくことが大切だと思います。今後も地域のコンテンツを最大限に活用して、武蔵野市を活性化していただけるとありがたいと思います。同時に、自分自身も何かに取り組みたいと考えて、「アニメ・ファンタジスタ・ジャパン」という委員会を立ち上げました。吉祥寺エクセルホテル東急さんのご協力を得て、昨年に続き今年も8月に「第2回 アニメ・ファンタジスタ・ジャパン」を開催させていただきましたが、2日間で1300人の来場者があり、著名なアニメ関係者の方々にもご出席いただいて、非常に意義のあるイベントになりました。武蔵野市以外からもたくさんの方にご来場いただき、やはりアニメの力は素晴らしいものだと強く認識しました。また、ご来場者のアニメに対する愛情は深く、知識は非常に豊富です。そういう方々に満足していただくには大変な努力が必要だと感じました。ただ、アンケートの結果を見ると、「大変よかった」「また来年も開催して欲しい」というお声もたくさんいただいたので、開催してよかったと思っています。また、武蔵野市には病院や水道の問題、長年の懸案である南口の再開発の問題があります。商工業の活性化のためには、まだまだやらなくてはならないことがたくさんあると思います。今までやってきたことを踏襲するだけではなく、もっと地域に必要とされることを考え、今後も行政と協力して地域に貢献していきたいです。
教習所は創立65周年だそうですね
私は平成元年に武蔵境自動車教習所の社長になり、35年に渡りこの教習所の事業に携わってきました。少子化問題や車離れで教習所業界は衰退事業と言われておりましたが、武蔵境自動車教習所は社員さんが頑張ってくれて、地域の皆様からもご支援いただいて、コロナ禍という世界的な激震の時期に大きく成長することができました。2020年には入所者数が8000名を超えて、2021年には9800名のお客様にご入所いただき、「東京で一番の自動車教習所になる」という目標を達成することができました。それは社員さんの日頃の努力の賜物であり、教習所の「共尊共栄」の経営理念が社内に浸透して、お客様に武蔵境自動車教習所の価値と意義を認めていただいたということだと思います。私の経営者としての使命は、社員さんとそのご家族を幸せにするということであり、それができるのはお客様のおかげですから、お客様に感謝して最高のサービスをご提供しなくてはなりません。武蔵境自動車教習所で免許を取ってよかったと実感していただけるようなサービスをご提供することで、たくさんのお客様に来ていただけるのだと思います。また、教習所は公道を利用させていただいていますから、地域社会にも感謝を伝えていかなければいけないと思います。
「創業の精神」とは何でしょうか?創業者の方にアドバイスしていただけるとしたら、どんなことですか?
私は三代目なので「創業者」ではないのですが、私が承継した当初、弊社は大変厳しい状況にありました。どうしたら昔の習慣を払拭できるかを考えた時、私は何よりも社員さんとそのご家族を大切にしたいと思いました。社長に就任した当初は労働組合との厳しい交渉がありましたが、労働組合の方たちも社員さんですから、大切にしなくてはなりません。そうしているうちに労働組合との戦いはだんだん下火になっていきました。平成7年に「共尊共栄」の理念を掲げてから業績が上向きになり、創業35周年の中期経営計画で「創立40周年には東京で一番の自動車教習所になる」というビジョンを掲げ、40周年の時には二番になることができました。会社の業績を支えるのは社員さんであるという私の“念い”を理解していただけた結果、そういう業績を残せたと思います。社員さんとそのご家族を大切にすること、お客様を大切にすること、地域社会を大切にすること、私の創業の精神はその3つです。そういう“念い”がないと経営はブレます。創業の精神と理念をみんなで共有して、それを突き詰めてきたからこそ今の会社があると思います。社員さんを大切にするというのは甘やかすことではなく、社員さんが持っている力を引き出していくことです。創業の精神は、自分が金持ちになるというようなものでは経営はうまくいきません。自分と関わる人が幸せになること、お客様の喜びが結果として返ってくるということ、ビジョンは自分が叶えるのではなく、お客様社会が叶えてくれるということを理解していかないとダメだと思います。今、武蔵野市で多くの若者が自分の人生を掛けて創業されていると聞いております。商工会議所がしっかりと創業される方を支えてまいります。創業の精神は自分のためだけではなく、「社会のため」「地域のため」「お客様のため」という“念い”をずっと持ち続けてください。その結果として、お客様に、地域に、社会に必要とされる会社になった時に、成長できる企業になれると思います。創業時は大変だと思いますが、お客様が何を求めているのか、社会が何を必要としているのかをしっかり考えて、お客様に商品やサービスを提供してください。また、他の会社と同じことをやっても成功しません。どうしたら自分の会社が必要とされるか。必要とされるということは、お客様の心に響くような商品やサービスが提供できるということです。自社の強みをしっかり考えて、その強みを常に磨いていくことが大切です。
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